プラセンタの美容価値に新しい視点。エクソソームとmiRNAから見るインナーケアの可能性

著者:美容成分プラス編集部/専門確認:食品・化粧品素材の研究担当者

美容や健康をサポートする成分として、長く親しまれてきた「プラセンタ」。サプリメントや美容ドリンクなどで見かける機会も多く、インナーケア素材として広く知られています。

一方で近年、プラセンタは従来の「栄養成分が豊富な素材」という見方に加え、細胞間の情報伝達に関わる「エクソソーム」や「miRNA(マイクロRNA)」といった、より分子レベルの視点からも注目されはじめています。

スキンケアやインナーケアの分野では、うるおい、ハリ、透明感といった表面的な美容悩みだけでなく、その背景にある細胞のコンディション、慢性的な微弱炎症、エイジングに伴うシグナル変化などにも関心が広がっています。

そうした流れのなかで、プラセンタエキスは「昔からある美容素材」でありながら、最新の生命科学の視点から改めて見直されている成分のひとつです。

今回は、美容成分の新しい研究トピックとして知っておきたい、プラセンタにおけるエクソソームとmiRNAの可能性について解説します。

そもそもプラセンタとは?

透明な液体が入った小さな瓶と大きな瓶がピンクの背景に置かれ、後ろには花がぼんやりと写っている。

プラセンタとは「胎盤」のことです。胎盤は、妊娠中に母体と胎児を結び、栄養供給やホルモン分泌、免疫に関わる重要な臓器です。

そのためプラセンタエキスには、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな成分が含まれているといわれています。美容や健康を支える素材として長く活用されてきた背景には、こうした多様な成分への期待があります。

ただし、プラセンタの魅力は「栄養が豊富」というだけでは語りきれません。プラセンタが美容や健康にどのように関わるのかについては、従来の栄養成分だけでは説明しきれない部分もあります。

そこで近年、新たな視点として注目されているのが、プラセンタに含まれる「エクソソーム様成分」と「miRNA」です。

細胞間の“メッセージカプセル”と呼ばれるエクソソーム

ピンクの背景に浮かぶ光沢のある細胞のイラスト。細胞の内部に繊細な模様が描かれており、光のエフェクトが加わっている。

エクソソームとは、細胞から分泌される直径約50〜200nm(ナノメートル)の微細なカプセル状物質です。

この小さなカプセルの中には、タンパク質やmiRNAなどが含まれており、細胞同士が情報をやり取りするための“メッセージカプセル”のような存在と考えられています。

たとえば、ある細胞が発した情報を別の細胞へ届けることで、周囲の細胞の働きに影響を与える可能性があります。こうした細胞間コミュニケーションは、再生医療やがん研究などの分野で盛んに研究されてきました。

近年では、美容やウェルネスの分野でもエクソソームへの関心が高まっています。肌や体のコンディションを考えるうえで、単に栄養を補うだけでなく、細胞同士がどのように情報をやり取りしているのかという視点が重要になってきているためです。

miRNA(マイクロRNA)とは?

さまざまな色の分子が浮かぶ、抽象的な科学的ビジュアル

miRNAは「マイクロRNA」と呼ばれる、とても小さなRNAの一種です。

私たちの体では、遺伝子の情報をもとにタンパク質が作られ、そのタンパク質が細胞の働きに関わっています。miRNAは、このタンパク質が作られるプロセスに関わり、細胞の状態や働きを調整する役割を持つと考えられています。

少し難しく感じるかもしれませんが、miRNAは細胞のコンディションに関わる“調整役”のような存在です。

2024年には、miRNAの発見とその働きに関する研究がノーベル生理学・医学賞を受賞したことでも話題になりました。美容成分の世界でも、今後ますます注目されるテーマのひとつといえそうです。

プラセンタエキスとエクソソーム様成分

3つの円が並んでいるモノクロ画像
プラセンタエクソソームの顕微鏡画像

プラセンタエキスは、アミノ酸やペプチドなどを含むインナーケア素材として広く活用されています。さらに近年は、一部のプラセンタエキスにおいて、エクソソーム様成分の存在が確認されていることも報告されています。

また、プラセンタ由来のエクソソーム様成分には、多種類のmiRNAが含まれることが分かっており、その中には美容やエイジングケアとの関連が報告されているmiRNAも確認されています。

ここで大切なのは、すべてのプラセンタエキスに同じようなエクソソーム様成分やmiRNAが含まれているわけではない、という点です。原料の由来、製造方法、精製・加工工程などによって、含まれる成分の特徴は異なると考えられます。

だからこそ、これからのプラセンタエキス選びでは、単に「プラセンタ配合」という表示だけでなく、どのような研究背景を持つ原料なのかという視点も重要になっていきそうです。

注目されるmiRNA「miR-146a」

プラセンタ由来成分の研究で注目されるmiRNAのひとつに、「miR-146a」があります。

miR-146aは、肌のハリや弾力に関わる真皮線維芽細胞において、加齢とともに減少しやすい因子として知られています。また、炎症の抑制、細胞増殖、Ⅰ型コラーゲン産生、DNAダメージの低減などに関わる可能性も報告されています。

美容の分野では近年、「インフラメイジング」という考え方にも注目が集まっています。これは、加齢に伴って慢性的な微弱炎症が蓄積し、肌や体のエイジングに関わるという考え方です。

miR-146aは、こうした炎症シグナルの調整に関わる可能性が示唆されていることから、エイジングケアを考えるうえで興味深い研究対象といえます。

プラセンタエキスに含まれるエクソソーム様成分やmiRNAは、従来の「栄養補給」という見方に加えて、細胞間コミュニケーションやエイジングシグナルという新しい視点からも注目されはじめています。

インナーケア素材としてのプラセンタ

透明なグラスから水を飲んでいる女性の横顔。白いシャツを着ている。

プラセンタは古くから、うるおい、くすみ、ハリ、キメ、シワ、毛穴など、美容に関わるさまざまなテーマで研究されてきました。

さらに、美容面だけでなく、日々の疲れやすさ、睡眠の質、更年期世代のゆらぎ、PMS・生理に関する悩み、飲酒後の不調など、全身のコンディションに関わる領域でも検討が行われています。

現代の美容では、肌表面のケアだけでなく、睡眠、ホルモンバランス、ストレス、代謝、慢性炎症など、体全体の状態を含めて美しさを考える流れが強まっています。

その意味で、プラセンタエキスは「肌のための成分」というだけでなく、内側から美容と健康を支えるインナーケア素材として、改めて注目されています。

これからのプラセンタエキス選びで見たいポイント

プラセンタエキスは、昔から知られる定番素材である一方、近年はエクソソーム様成分やmiRNAという新しい研究視点によって、改めて価値が見直されつつあります。

これからプラセンタを含むインナーケア製品を選ぶときは、配合量や価格だけでなく、次のような点にも注目してみるとよいかもしれません。

原料の由来や品質管理が明確か。どのような研究データがあるか。美容だけでなく、日々のコンディションまで視野に入れた設計になっているか。そして、エクソソーム様成分やmiRNAなど、新しい研究テーマに基づいた情報発信がされているか。

もちろん、エクソソームやmiRNAに関する研究はまだ発展途上の分野です。すべてのプラセンタ原料に同じ特徴があるわけではなく、現時点では慎重に見ていく必要があります。

それでも、一部のプラセンタエキスでこうした成分の存在が確認されていることは、プラセンタが美容・健康素材として長く利用されてきた理由を考えるうえで、興味深いヒントになるかもしれません。

古くから親しまれてきた美容素材に、最新の生命科学の視点が加わる。プラセンタエキスは、これからのインナービューティを考えるうえで、引き続き注目したい素材のひとつといえそうです。

本記事は、美容成分に関する研究情報を、一般の方にも分かりやすく紹介することを目的に編集しています。特定の商品・サービスの購入を推奨するものではありません。