女性にとって、女性ホルモンは生命維持と子孫繁栄に欠かせません。自身の健康管理や肌のお手入れのためにも、知識を持っておいた方が良いでしょう。特に月経の周期や女性ホルモンのバランスが「女性性」を司ります。肌の状態を知る際、月経周期のどの辺りなのか、順調か不調か、または閉経後かなどを確認します。エステで施術を受ける時も、必ず聞かれる項目です。一般の女性も最低限の知識をもっておくと良いでしょう。
女性ホルモンは卵巣で作られますが、作る指令は間脳の視床下部で出され、脳下垂体から卵巣に届けられます。
視床下部というところは、甲状腺、成長、副腎皮質ホルモン、そして性ホルモンなどを管理していますが、視床下部の最も重要な仕事は自律神経の機能調節です。従って、自律神経が乱れると、ホルモン(内分泌器)の機能や免疫の機能も乱れます。そしてその乱れは肌にダイレクトに現れ、肌荒れを起こします。
視床下部から、次に脳下垂体に指令が送られ、脳下垂体から性腺刺激ホルモンが卵巣に送られます。卵巣はこの指令を脳から受け取って、ようやく女性ホルモンを分泌するわけです。従って、ストレスなどで視床下部の働きが低下すれば、女性ホルモンを分泌する指令が送られず、卵巣は機能が低下します。女性ホルモンが適切に分泌するには、精神や脳の健康が欠かせません。
●エストロゲン:卵胞ホルモン
女性ホルモンと言えばエストロゲンです。
エストロゲンが安定して分泌されていることで「女性らしい美しさ」が保たれます。俗に「美人ホルモン」とも呼ばれます。排卵日をピークに多く分泌し、排卵後は分泌が減ります。
なので排卵前の女性は、肌も髪も潤いがあり調子が良いです。そして自律神経も安定させてくれるので排卵前は気持ちも穏やかに過ごせます。
エストロゲンには3種類あります。
エストラジオール:性成熟期に一番多く卵巣から分泌されます。
エストロン: 副腎や脂肪細胞などでつくられるエストロゲンで、卵巣が機能しなくなった閉経後はこのエストロンが主なエストロゲンになります。更年期前後の中性脂肪を増やすホルモンも、このホルモンです。
エストリオール:妊娠中のエストロゲンです。他の2つは増えすぎると、乳がんや子宮がんなどを誘発しますが、こちらのみ抗がん作用があるとされています。
●プロゲステロン:黄体ホルモン
エストロゲンが排卵まで多く分泌され、排卵後はプロゲステロンの分泌量が増えます。妊娠に最適な準備をして受精を待ち、受精がなければ分泌量は減り排泄し、月経が始まります。妊娠をすると、そのまま分泌し胎盤からも分泌されるようになります。プロゲステロンは受精卵の着床と妊娠に必要なホルモンです。
排卵から生理中は、このプロゲステロンの分泌量は高まり、不調が出やすくなります。症状としては、腹痛、腰痛、頭痛、だるさがあり、精神的にもイライラしやすくなります。重症化すると月経前症候群(PMS)と診断されます。肌の調子も悪くなり、荒れやすくなります。
プロゲステロンは、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くする作用もあります。そのため、膵臓はインスリンを多く分泌することになり、身体に脂肪を溜め込んだりします。排卵後から月経までの時期はダイエットには向きません。
2つの女性ホルモン分泌のバランスにより、女性の心理的、身体的状態は大きく影響を受けます。そして、上述のように、肌の調子もこのバランスにより影響を受けます。
月経とホルモン量
15日の排卵後〜月経前まではプロゲステロンが最も分泌が高まり、肌の調子も悪くなりやすいです。排卵後はむくみやすくなり、吹き出物もできやすくなります。精神状態もイライラしやすくなりますので、この時期には、デトックス&リラックスして心を落ち着かせることが必要です。
そして肌も過剰な栄養を与えず、シンプルなスキンケアがいいです。肌荒れを起こしやすい方は、低刺激のスキンケアにし、この時期に化粧品を変えたりしない方がいいでしょう。食べ過ぎに注意して、ダイエットもこの時期は向きません。
月経の始まり〜排卵前まではエストロゲンの分泌が徐々に増えてくるので、肌の調子も良くなり、精神的にも安定します。月経開始後6日あたりから、肌の調子もよく潤いやハリに満ちてきます。この時期には与えるスキンケアで栄養素を補給し、新陳代謝も活発なので、ダイエットやスポーツをしっかりすると良いでしょう。
この女性ホルモンの周期を確認できる手段は「基礎体温」です。
妊娠をしたいときなどにしか測らない方も多いと思いますが、自分の女性ホルモンがバランスよく周期的に分泌されていて、どのサイクルで肌が変化するのかを知るためには測りましょう。
排卵前の低温期と排卵後に高温期をカレンダーに記載するといいでしょう。
毎日測るのが負担な方は、次の月経開始日を把握しましょう。開始日が分かれば、いつ排卵日かおおよそで分かり、その前後の肌や身体の調子も分かるので、毎日のお手入れの指標になります。
40歳を過ぎたころから卵巣機能が少しずつ低下し、閉経を迎えます。この閉経をはさんだ前後約10年を「更年期」といいます。
更年期はエストロゲンが急激に減少し、ホルモンバランスが乱れます。ホルモンのコントロールを司る間脳の視床下部から指令を出しますが、卵巣の機能が低下しているため女性ホルモンは分泌されず、この繰り返しで視床下部がパニックを起します。そして自律神経や免疫機能のバランスを崩し、ほてり、のぼせ、冷えなどの体にさまざまな不調が現れます。症状には個人差がありますが、このような更年期のさまざまな不調を「更年期症状」といい、重いものを「更年期障害」といいます。3つあるエストロゲンのうち、閉経後はエストロンというエストロゲンが分泌します。更年期前後の中性脂肪を増やすホルモンなので、この時期は太りやすくなります。
これらは、女性らしい肌と身体を支えるホルモン「エストロゲン」の減少に伴って、肌のハリを保つコラーゲンやエラスチンの弾力性と量が失われることで生じます。また、紫外線によるダメージや活性酸素による老化もシワの原因になります。 更年期頃に悪化するシミには、長年の紫外線が原因となる老人性色素斑と、女性ホルモンの乱れが原因とされる肝斑があります。
更年期前後のスキンケアは、少なくなってくる肌の保湿成分や栄養素を補給しましょう。これまで脂性肌や混合肌で比較的さっぱりとした化粧品を使っていた方も、更年期や閉経後は皮脂の分泌も少なくなります。しっかり洗顔するのは週1などにして、優しく潤いを保ちながら洗顔をする方が良いでしょう。
更年期前後で使いたい美容成分 大豆イソフラボン・プラセンタ・コラーゲン・エラスチン・セラミド・ヒアルロン酸・スクワラン・ハトムギエキス など
2つの女性ホルモンの働きとその分泌周期を知って、日々の体と肌のケアに生かしましょう。基礎体温をつけて、ホルモン周期を把握しましょう。更年期に差しかった頃には、肌を見つめスキンケアを見直しましょう。
フランスで美容とコスメの国家資格を取得。ゲランや日系商社に勤め化粧品マーケティングやビジネススキルを磨き、スパ・elieoZenを原宿にOPEN。ストレスを取りメンタルに作用し、顔立ちを若々しくする独自施術・The 光明フェイスデザインが人気。