ここ数年、スマートフォンの普及によりベッドの中に入ってもついスマホをいじってしまって寝つきが悪い……といったことはありませんか? 美容や健康のためにもしっかり寝た方がいいと分かっていながら夜更かししてしまったり、本当はきちんと寝たいのに不眠がちで寝起きがスッキリしない方などは、お肌にも影響が出ているかもしれません。
そこで、今回は睡眠と美容の関係性についてお話します。
睡眠は、毎日何気なく繰り返される行為ですが、皆さんはその役割についてどれくらい意識をしているでしょうか?
「毎日きちんと8時間寝ているのに、疲れが取れない」
「早い時間からベッドに入っているのに、寝起きの顔色が優れない」
筆者のまわりではこんな話をよく聞きますが、睡眠は実は時間よりも“質”の方が大切。まずは、質の良い睡眠を取れているかどうかチェックしてみましょう。
□ベッドに入ってから眠りにつくまでに10分以上かかる
□夜中に何度も起きてしまう
□起きた時、体に痛みや不快感がある
□夜中や寝起き時にのどが渇く
□いびきをかいている
この5つの質問のうち1つでも該当するものがあれば、もしかしたらぐっすり眠れていないかもしれません。
睡眠は単に体を休ませるだけではなく「脳」を休ませ、脳をよく活動させる重要な役割があります。脳がしっかり休息できないとストレスが溜まりやすくなります。
また、睡眠の質が悪いと眠っている間に体内に補充されるはずのホルモンが出にくくなり、お肌への影響もあります。
睡眠中にはさまざまなホルモンが分泌されるのですが、その中でもよく知られているのが「成長ホルモン」です。成長ホルモンとは骨の発育を促したり、体の組織を修復したりしてくれる働きがあります。すなわち「良い睡眠」は美肌作りにひと役買ってくれるということになります。
以前は「夜22時から翌2時までの間はお肌のゴールデンタイムなので、その間は寝るようにしましょう」とよく耳にしましたが、最近の研究では、成長ホルモンの分泌と寝ている時間帯だけでなく、眠りの深さが重要であることが分かってきました。
睡眠中は就寝後すぐ深い眠りの「ノンレム睡眠」の時間帯があり、その後に浅い眠りの「レム睡眠」の時間帯が交互に繰り返されます。成長ホルモンがたくさん分泌されるかどうかは、最初の「ノンレム睡眠」の時にどれくらい深くぐっすり眠れたかが美肌につながる大きな鍵を握っていると言えます。
また、最近の研究では日中のストレスが肌トラブルの原因になっていることも明らかになっています。日中のストレスとは紫外線や乾燥だけではなく精神的なストレスも想像以上に肌への悪影響を及ぼします。この点から言っても、質の良い睡眠をとれば脳が休息できてストレスを感じにくい状態へ導くこともできると考えられます。
ここまでで美肌のためにも睡眠が重要だということはご理解いただけたかと思います。ここからは質の良い眠りを手に入れるために必要な4つのポイントをご紹介します。
ポイント1:寝るときの姿勢
一時期うつ伏せで寝ることが良いとされていたことがありましたが、それは間違いです。頭の重さは体重の6%程度と言われ、体重60kgの人であれば頭の重さは約3.6kgもあります。
うつ伏せで寝ると自然とあごが布団に押し付けられて、それが長時間におよぶと顎関節症の原因につながると言われています。睡眠中の頭の重さがあごにずっと乗っかっていると思えば、痛みを伴うのは当然です。ですので、寝るときは仰向けを意識しましょう。
ポイント2:呼吸
最近、睡眠中に鼻呼吸ができず口で呼吸してしまう人が増えています。原因はいくつか考えられますが、口呼吸が定着してしまうと簡単には鼻呼吸に戻れなくなってしまいます。
質の良い睡眠を手に入れるためにもベッドに入ったら意識して鼻呼吸をするようにしましょう。また、日中も鼻呼吸を意識したり、時には深呼吸をして正しい呼吸を確認しましょう。
ポイント3:寝具
ポイント1にも通じますが、どんな寝具で寝るかも重要なポイントです。清潔なものであるのはもちろん、敷布団は硬さも大切。ふわふわと柔らかすぎると背筋のカーブが崩れて筋肉に負担がかかってしまい、硬いと背中に負担がかかり仰向けでいられる時間が短く、夜中の寝返りの回数が増えてしまう恐れがあります。理想的な硬さは筋肉と同じくらいの柔らかさ。横になった時に体と布団の間のすき間に手がすっと入るくらいの凹み具合が理想です。
また、枕の高さも重要です。最近ではオーダー枕も流行っていますが、普段猫背やストレートネックなど姿勢に問題がある人は枕の高さ選びに注意が必要です。今の姿勢に合わせて枕の高さを選んでしまうと、正しくない姿勢のまま眠ることになってしまう可能性があります。姿勢に悩みがある人は、枕をオーダーする際にその点をきちんと相談することをオススメめします。
ポイント4:適度な運動
昔は便利な家電などがなかった分、何をするにも体を動かす必要がありました。交通も発達していなかった頃は現代人よりも毎日たくさん歩いていたはずです。しかし現代は仕事もデスクワークの人が多く、移動もエレベーターやエスカレーターを利用するなど普段の運動量が少なくなっていて、精神的に疲れていても肉体的にはさほど疲れを感じないというアンバランスな状態の人が増えています。
運動不足は血行不良につながり、冷え性の原因にもつながります。アスリートのような運動は必要ありませんが、ひと駅分だけ歩いててみたり、気づいた時にラジオ体操程度の運動やストレッチをしてみたりと、適度に体を動かす習慣を身につけると質の良い眠りに近づきます。
「平日は何かと忙しくて週末にたくさん寝て体を休ませている」という人がいるかもしれませんが、残念ながら寝だめはできません。なんとなく普段寝つきが悪いなと感じている人は、今回のアドバイスを参考にできることから始めてみてください。
OL生活を経て30歳で美容業界に転身。過去のモデル経験、多数の美容資格取得の経験から幅広いジャンルの美容情報に精通。 現在は、美容コーディネーターとして活動しウェブメディアにて多数連載を持つ。
一般社団法人 地域復興美と笑顔を繋ぐ会の代表も務め、美容家仲間たちと美にまつわる活動を通じてボランティア活動も行っている。